【マッキンゼー出身社長が語る】実力だけでは勝てない。「サラリーマンゲーム」を最速で攻略する“政治と愛嬌”の技術
今回のゲストは、新卒で日系大手企業(JTC)に入社後、マッキンゼーを経て、現在はファンド運営や起業など6社もの経営に携わる佐藤さんです。
「同期の中で一番早く出世したい」「圧倒的な成果を出したい」 キャリアを歩む中で、誰もが一度は抱くこの野心。しかし、ただ闇雲にスキルを磨くだけで本当に最速の出世は叶うのでしょうか?
今回は佐藤さんに、ご自身が「サラリーマンゲーム」と呼ぶ、組織の中で評価され、勝ち上がっていくための“攻略法”を徹底解説していただきました。綺麗事抜きの、かなりリアルな処世術です。
■ 「最速昇進」に答えはないが、ゲームの攻略法はある
Q:今回のテーマは「同期内で最速で昇進する方法」です。ズバリ、どうすればいいのでしょうか?
A: 同期内で最速で昇進していく方法の答えっていうのは、結論ないんじゃないかと思うんですよね。あと「早いかどうか」っていうところなんですけれども、どれぐらい早いところを目指すかによって結構答えが違ってしまっている。
同期って言うと、その年に「怪物くん」みたいな人がいてしまうと、もう勝てないんで絶対に。それは不可能っていう話。
ただ、同期内で最速なのか、歴史上最速なのか、相対的にちょっと早く昇進していくのか。それらにおいて「共通項」となるような部分っていうのはあったりすると思うんで、ちょっとそこについて語らせていただくという形にできればなという風には思ってはいます。
まず、相対的に早く昇進していくこと。これの共通項でいくと、私の理解ではですね、昇進って結構ゲーム化されてる部分もあったりすると思うんです。ていうかもう「サラリーマンゲーム」って私は呼んでるんですけれども。
要はそのゲームのルールがあって、昇進をするための必要な条件があって、そこにミートしていくっていう行為をただただやり続けるっていう。それをするだけで普通に昇進していくっていうようなゲーム。特にコンサルティングファームってそうだったりするんで、そこをいかに科学的にやるのかっていうところが非常に重要なんじゃないかなという風に私は思ってはいます。
■ 【表のルール】能力値の要件を満たす
Q:その「サラリーマンゲーム」には、具体的にどんなルールがあるんでしょうか?
A: コンサルティングファームって必ず役職があって、その役職ごとに求められてることがあるんです。
例えばですね、他者と協調性を持って働きましょう、コラボレーションですみたいな話であったりとか。ジュニアカリーグ(後輩)とかをちゃんとコーチングしてあげてくださいみたいな話であったりとか。クライアントをちゃんと握っていってくださいとか。
あとは、問題解決とかをすごくロジカルに理路整然とストラクチャーに解決をしていって、正しい答えを良い形で出せるみたいな。それが非常にインパクトフルであると。そういうようなものを出せるみたいな能力だったりとか、いろんな能力が定義されていますと。
この必要な能力値っていうのが役職ごとに大体定められてるっていうケースが一般的で、私も何社か行ったんですけども、大体そういう風になってました。
それらを満たしてるかどうか。あるいは、さらに満たしている上で、上のタイトルのやってることっていうのができるかどうか。それによって評価っていうのが決まってくると。で、この評価が連動して昇進するかどうかっていうところにインパクトがあるので、そこをただただ点数を取りに行くっていう行為をするっていうのが、基本線なんだと思っています。表向きはですね。
Q:足りない能力がある場合はどうすればいいですか?
A: 自分はなんか「problem solving(問題解決)」ができないんだっていう風になったら、もう必死でproblem solvingについて勉強するんだと思うんですよね。
ホワイトボードとかに、このストラクチャーに例えばイシューツリーを書いてみたりとかですね。問題設定、アイデンティフィケーションやってみるであったりとか、あるいはその解き方とかを1つずつ考えてみるとかですね。
それらをすごい裏側でですね、「バットを振る」って言ってるんですけども、いろんな型を紙に書き出して、で、なんか練習してみるであったりとか、友達とディスカッションしてみるであったりとか。やり方色々あるんですが、それをひたすらやりまくるみたいな行為をするっていう。それによって能力ってキャッチアップしていくケースが大体多かったりするんで、それやり続けるって話。
あとは他者からフィードバックをいただくっていうのが非常に重要かなと思っていまして。特に先輩社員とか上位タイトルの人とかに意見をもらうっていうのは非常に重要だと思うんですけれども。
コンサルティングファームで、特に優秀な方達っていうのは非常に的確な意見とか投げかけてくれるので。もうその人たちの意見っていうのを聞いて、「自分はこういうことはできないんだな」みたいな。で、「こういう風に直したらいい」みたいなところまで含めてアドバイスもらって、それひたすらやり続けるってことすると、筋トレと一緒なんで能力上がってくんですよね。
Q:それを続ければ、誰でも昇進できるものでしょうか?
A: 大体のケースにおいてコンサルティングファーム、特にいい会社に入ってるような人達っていうのは、もうその時点で素養としてはそれなりのところまで行っているはずなので。もう頑張って勉強したりとか仕事したりしてれば、それなりにいいレベルまで行く人たちだと思うんですよ。
練習方法間違えるとか、問題点間違えちゃうケースとかっていうのはあったりするんで、それで一生懸命頑張っても成長しないっていう話はあるんですけれども。そこは上位役職者の人であったりとか先輩社員に補っていただいて、アドバイスもらって、リライト含めて教えてもらったことをただただ愚直にやり続ければ、もうイケてるコンサルタントに普通にはなっていくんですね。普通にやってれば。
これのタイムラインがちょっと長いであったりとか短いであったりとか、あるいは伸び代であったりとかが違うっていうのは多少個体差はあると思うんですけれども、大体のケースにおいてはある一定のところまで行くと思ってます。
■ 【裏のルール】評価者は「人」である
Q:先ほど「表向きは」とおっしゃっていましたが、裏のルールもあるということですか?
A: この指標があって水準値があって、その水準値を高めていくんだみたいな議論っていうのは当然のゲームとしてあるんですけれども、それ以外のところで割と「政治」が重要だったりするっていう話は、あるかなとは思ってるんです。
政治っていうのは、評価つけるのも人間だったりするんで。いかにプロセスが堅牢なものが評価プロセスとして用いられていて、ガバナンスもめちゃくちゃ効いていてしっかり運用されてるっていう風になったとしても、最終的にはどこかで人が判断しているんで。そこの人の判断をちょっとした工夫で上に上げていくみたいな行為ってのは非常に重要だったりする。
例えばなんですけれども、あの評価者とかですね、飲み行って仲良くなるとか、そういうのが1番典型的に分かりやすいやつなんですけれども。
ただコンサルティングファームって割と体育会系に近いような思想を持ってる人たちもいらっしゃって、「頑張ってる人間とか評価したい」とかですね、「俺についてきている人間とか評価したい」とか思う人って多いんですよね。
あの、政治的に例えば自分の下というかチームにですね、いい人たちがついてこないと自分もデリバリのクオリティとか上がらないみたいな状況になったりすると思うので。そもそも上位タイトル者(上司)っていうのは、下層に対して「囲い込み」をするっていうことに対するインセンティブがあるような状態だったりもするので。
じゃあそういうことを考えるとですね、「俺はこの人についていく」「俺はこの人と一緒にやれたおかげで成長できた」「そして俺は今なんかすごくパフォームしていて、めちゃくちゃ人生楽しい。で、これから先もこの人と一緒にやっていきます」みたいな、決意表明みたいな感じのことをやっていただくと、上位タイトル者っていうのは喜ぶんですよね。
そういうことをやりながらも、どんどん気に入られていくっていうのが基本ですね。
Q:気に入られるためには、具体的にどう動けばいいのでしょうか?
A: 上位タイトル者に対しても、自分はなんかこう「ギバー(Giver)」になるっていうことをやっていくってのは必要だったりしますと。
例えば、「あの人についていったことで俺成長できた」とか、「めちゃくちゃ楽しい」とか、「なんか元々パフォームしなかったのに一緒に仕事してパフォームするようになって、今なんか出世できました」とかですね。そういうことを公的に流していくみたいな話であったりとか。
あるいはそういう実績を、その上位タイトル者とやったっていう実績をですね、その上位タイトル者の「さらに上の上位タイトル者」に対してフィードバックしていくみたいな。
そういうことができると、その自分の上司の人に対する評価が上がってくるっていう話があるので、彼らとしても「一緒にさらにやっていきたい」っていう風な気持ちになったりするっていう。
で、さらにはそういう人たちが出世していくと、意見としても強いものになっていくんで、よりその自分の昇進に対する意見としてはですね、強いアドバンテージが得られると。そういうような状態になったりするので、ギバーになるっていう話と……ちょっと言っちゃうとあれなんですけど、靴ペロみたいなことをやっていくみたいな、そういうことも大事だったりするっていうのが昇進には必要だったりするかなとは思ってますね。
■ 実力だけで戦うのは「非効率」
Q:実力一本でいきたい、政治的なことはしたくないという人もいると思います。
A: この政治的な動きっていうのがやってるかどうかっていうところで、実はなんか実力値でもかなりの昇進スピードに差が出たりするみたいな。一生不遇の人生を歩むみたいな人たちも結構いたりするって。
「俺は普通にコンサルタントとして対戦していけばいい」「そういうことを一切やらないんだ」みたいな、あの鉄の掟としてそういうことを心に誓ってやるんだみたいな人もいらっしゃるんですけれども……それマジで非効率で。
あ、そういうことする必要一切ないっていう。もうゲームなんで。サイコロ回して昇進したら、なんかいい目が出て昇進したらそれでいいっていう話もあったりすると思うんです。
昇進していったらどんどんどんどん給料も上がっていきますし、社会的に認められることも多いので、転職するっていう風になってもいい転職先に転職できますし。そういうことを考えると、絶対にこの政治的な動きっていうのは私はやるべきっていう風に思います。自分がサラリーマンに戻ったら絶対やりますね。
■ 上司を勝たせて、自分も勝つ「平行四辺形理論」
Q:上司の期待値が分からない時は、どうすればいいですか?
A: もう聞いてもしょうがないんですよね。徹底的にギバーになり続けるっていうことなんじゃないかなという風に思ってまして。それによって心を開いていただくっていうことなんじゃないかなと思うんですよね。
例えばなんですけれども、Aさんっていう上司がいたとしましょう、仮にですね。で、Aさんと自分仲良くなりたいし、一緒にやっていくことによって自分も出世できるみたいなことを思えるような人だったとしたらですね、もうその人との関係性を死ぬほど作ることに頭を使い続けるっていうことだと思うんですよね。
ワンオンワンやっても「いやAさんもうそろそろパートナーっすね、素晴らしい」みたいな。「で、Aさんがパートナーになってくれたら、自分も自分のこと以上に嬉しいし、自分もそういう風になっていけるように、Aさんがですね、何かできることがあったら全てやりたいと思っています」……初心表明なみたいな、そんな感じで関係を作っていくっていうことだと思うんですよね。
そうすると「いやいやもうそんなこといいですよ」みたいな、「自分そういう風にやってパートナーになっていきたいとか思わないんで」みたいなことを世の中的には言うんですけれども。
え、でも「こいつ使えるかも」っていうこう頭の片隅で絶対思ってるようなAさんいるんですよ。絶対に。
で、こいつたちは多分さく(策?)と思うんですよね。「こいつになんかしてやれ」って。で、こいつになんかしてやって、でかついい気持ちにさせてやって、でコロコロ回していたら、多分自分のところにめちゃくちゃ返ってくるなっていう風に思うと思うんですね。ていうか思わせるようなビヘイビアするべきだと思うんですよね。で、そうなったら勝ちで。
Q:関係性ができると、仕事もやりやすくなりそうですね。
A: もう上司としてはですね、自分サポーターになってくれるし。で、サポーターになってくれている手でワンオンワンとかしてくれるようになるし。
で、ワンオンワンしている中で、あるいは飲んでる中でですね、「いや、自分こういうこと困ってて」みたいな話とかも聞き出しやすくなると思うんですね。グイグイ踏み込んでいくこともできるようになると思うんですよ。
例えばなんですけれども、「え、自分なんか過去にプロジェクトやった時にちょっとなんかパワハラチックの発言したとかそういうフィードバック受けちゃって」みたいな。「自分そんなことやったこと全然ないと思ってるんだけど」みたいな話とかをしてくれるようになってくると思うんですね。
その時に「いやもうAさんとか完璧な上司だし、自分も1番尊敬してる先輩ですと。パワハラとかありえない、対極的にある人だ」っていう話をこうし続けるみたいな。
「で、自分はもうそういう風なファクトを集めまくるんで、皆さんに称賛していただくために、いや、パワハラと対極的な印象とか作っていきましょうよ、一緒に」みたいな。
そんな感じでグイグイ踏み込んでいくと、どんどんどんどんポロポロなんかこう色々出てくるんで、それ拾い続けて投げ返し続けるっていう。
そうするとお互いそのいい関係性ができるんで、共生関係生まれて、でただただ一緒に上がっていくっていうことが実現できると。
これ謎の「平行線理論」というか「平行四辺形理論」って呼んでるんですけれども、こうなんか上司のAさんが上がっていくのと同時に、後輩である自分も一緒にこう平行四辺形を描いていく形で上がっていく。
それをするための共生関係を描くために非常に重要なことっていうのは、ギバーになるっていう。で、その後にこう聞き出すっていう、そういうことだと思ってます。
4. まとめ
今回のインタビューの核心は、出世を「サラリーマンゲーム」として捉え、感情論を排して攻略する姿勢にありました。
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スキル面: 役職ごとの要件を科学的に分析し、筋トレのように反復練習とフィードバックで埋めていく。
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政治面: 評価者が人間であることを利用し、徹底的な「ギバー」となって上司を勝たせる。
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戦略: 「靴ペロ」と揶揄されようとも、上司と共に「平行四辺形」を描いて上昇するのが最も効率的。
「実力があれば政治はいらない」というプライドを捨て、ゲームのルールを徹底的にハックする。その泥臭さこそが、組織の中で最速で駆け上がるための鍵なのかもしれません。
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