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【エンジニアから戦略コンサルへ――元マッキンゼーが語るコンサル生存戦略】 

今回のゲストは、エンジニア出身でMBAを経てマッキンゼー台北オフィスに入社したChris氏です。
戦略コンサルと聞くと、「エンジニアのスキルは本当に活きるのか?」「ITコンサルとの違いは?」といった疑問を抱く人も多いでしょう。
本記事では、実際に現場で何が求められ、どのようなアンラーニングが必要だったのかが、詳しく解説していきます。

■ マッキンゼー入社時期と役職について

Q:マッキンゼーへの入社はいつ頃でしたか?

A:MBA卒業後の2018年10月に入社しました。MBAや特定の認定校出身者の場合、「アソシエイト」という役職からスタートします。それ以外の学部卒などの場合は「ビジネスアナリスト(BA)」や、その中間の役職から始まることが多いですね。

■ 台北オフィスでの業務内容

Q:台北オフィスではどのような業務を担当されていたのでしょうか?

A:はい、私は戦略プロジェクトと実行支援(インプリメンテーション)の両方を経験しました。ただ、戦略プロジェクトの方が多かったですね。期間は2〜3ヶ月、時には1ヶ月という短期間で、企業の今後3〜5年の目標に関わるような大きな課題の解決策を提案します。

■ エンジニア出身でも「コードは一切書かない」

Q:エンジニア出身とのことですが、実際の業務でプログラミングやシステム構築を行うことはありましたか?

A:いいえ、全くありません(笑)。実行支援のプロジェクトであっても、私たちが担当するのはシステムを書くことではなく、「チェンジマネジメント(変革管理)」です。実際にコードを書いたり製品を作ったりする実務は専門企業に外注することが多く、コンサルタントはよりハイレベルな戦略やインパクト創出に時間を割くことが求められます。

■ 経験者採用が持つ「最大の武器」

Q:テック企業を経てMBAに進学されたとのことですが、そうした「職務経験」は新卒と比べてどのような強みになりますか?

A:とても良い質問ですね。かつてマッキンゼーは「真っ白な紙」のような新卒を好む傾向がありましたが、近年は特定の業界知識を持つ経験者採用に力を入れています。最大の理由は「信頼性(Credibility)」の構築です。ファームが「あらゆる業界のエキスパート」と名乗るためには、実際にその業界の最新トレンドや技術を知る人材が必要です。「シリコンバレー出身で最新技術に詳しい人間がいる」と紹介できれば、パートナーが契約を獲得する際の大きな武器になります。

Q:確かにクライアントへの説得力が増しますね。

A:ええ。それにソフトスキルの面でも、社会人経験者はクライアントの前での振る舞いやプロフェッショナルな態度(Decency)が身についているため、ファーム側も安心して現場を任せることができます。また、プロジェクトへのアサインにおいても、専門知識があれば自分の興味や強みが活かせる案件に入りやすくなります。もちろん、そのオフィスで扱いの少ない業界出身だと最初は苦労することもありますが、中国圏(Greater China)全体で見ればスキルにマッチする案件は必ず見つかります。

■ 「戦略」と「エンジニアリング」は遠くない

Q:エンジニアとしてのプログラミング経験は、戦略コンサル業務にどのように活きましたか?

A:短い答えとしては「間違いなく役立つ」です。戦略プロジェクトは不確実な中で答えを出さなければなりませんが、その根拠は常に「データ」に基づいています。エンジニアは「結論を出すために必要なデータは何か」「それをどう分析するか」という思考プロセスに慣れていますよね。この分析的なアプローチはコンサルティングと共通しています。

また、複雑な計算やExcelの関数を扱う際も、エンジニア経験があれば抵抗なく対応できます。以前扱っていた技術に比べれば、Excelの数式などは苦になりませんから(笑)。

■ 最大の壁は「アンラーニング」だった

Q:コンサルタントになるにあたって、過去のやり方を捨てる「アンラーニング」は必要でしたか?

A:これが一番苦労した点ですね(笑)。私は分析は得意でしたが、「問題の構造化」には慣れていませんでした。エンジニアリングの世界では、最終的な成果物や仕様がある程度決まっていて、そこに向かって解決策(How)を考えます。しかし戦略コンサルティングでは、クライアント自身も何が問題かわかっていないような「曖昧な状態」からスタートします。

「何を解くべきか」を定義する前に、エンジニア的な癖で早急に解決策や結論に飛びついてしまうことがあり、これを直す必要がありました。

■ 克服の方法は「徹底的な観察と検証」

Q:その壁はどのように乗り越えたのですか?

A:優秀なパートナーやマネージャーを観察し、模倣することですね。パートナーの中には、会議の最初の30分で問題を鮮やかに定義してしまう人もいます。そうした思考プロセスを観察し、自分なりに解釈して、同僚やマネージャーに「この考え方で合っているか」を検証(Validate)してもらう。そうやって徐々にコンサルタントとしての思考法に自分の頭を同期させていきました。

■さいごに

エンジニア出身であっても、戦略コンサルの世界で確かに活躍できる一方で、
最大の壁となるのは「スキル不足」ではなく「思考の癖」そのものだった。
Chris氏の語るアンラーニングのプロセスは、異業種転職を考えるすべての人にとって重要な示唆を与えてくれる。

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