【ケース面接練習 vol.4】ワインの国内市場規模推定
はじめに
コンサル転職支援プログラム「ステラキャリアズ」では、支援者+村木(元マッキンゼー・マネージャー/面接官経験アリ)でグループ型のケース面接練習を定期的に実施しています。
実際のコンサルティング面接で問われるような課題をお題に、参加者がそれぞれの視点から回答し、最後にフィードバックを通じてケース対応力を磨いています。
本記事では、「ワインの国内市場規模を推計せよ」を題材にした回をご紹介します。
お題説明
クライアントは国内ワイン市場への新規参入を検討する企業です。課題としては、まず国内のワイン市場規模をフェルミ推定によって算定し、次にその市場をいかに拡大するかについて施策を提案する、という二段階の構成でした。
第1問:フェルミ推定
考える際のヒント
フェルミ推定を行う際に重要なのは「構造化」と「仮定の根拠付け」です。人口や飲酒率を掛け合わせるトップダウン式の試算だけではなく、飲食店や家庭での消費量を積み上げるボトムアップ式を併用することで、精度を高めることができます。
また、セグメント分けが推定の正確性を大きく左右します。年齢層だけでなく、以下のような切り口で分解すると抜け漏れを防げます。
価格帯:高級(1万円以上)、中価格(2000〜5000円)、低価格(1000円以下)
種類:赤・白・ロゼ・スパークリング・オレンジワイン
チャネル:家庭用(スーパー・EC)、業務用(飲食店)、インバウンド(免税・土産)
さらに、仮定を置く際には「なぜこの数字を使ったのか」を説明することが大切です。たとえば「20〜30代の飲酒率40%」と設定する場合、国税庁の酒類課税移出統計や厚労省の国民健康・栄養調査を根拠にすると説得力が増します。
参加者の回答要約
NTさん
年齢別に「20–50歳(4,500万人)」「50–70歳(2,500万人)」「70歳以上(1,500万人)」の三層に人口を分け、各層の飲酒率、ワイン選択率(20%)、週あたり飲酒回数から年間消費回数を算出。
20–50歳は週当たり2.5回の飲酒回数とし、約8億回、他のセグメントもそれぞれ値を算出し、50–70歳は約1.8億回、70歳以上は約0.25億回で合計約10億回とし、1回あたり単価1,000円を掛けて市場規模を1兆円と推計。
MAさん
20–60歳以上の人口5,000万人を対象に、飲酒率60%、ワイン選択率30%、外飲み年間3本、家飲み年間2本という前提から、合計約2,250万本のボトル消費量を計算。平均単価を1万円強と置き、約3,550億円と推計。
YTさん
「少し飲む層(6,000万人)」「高頻度で飲む層(3,000万人)」「インバウンド層(2,850万人)」の三層で分け、年間ワイン支出をそれぞれ6,000円、60,000円、1,000円と設定。合計で約2.2兆円と推計。
第2問:施策提案
考える際のヒント
市場拡大を考える際には「誰の財布を狙うのか」を明確にすることが重要です。既存顧客の単価アップを目指すのか、新規層(若年層・高齢層・インバウンド)を開拓するのかで打ち手は変わってきます。
また、競合ポジショニングの視点も欠かせません。輸入ワインやビール・缶チューハイ・日本酒といった代替品に対して、どの強みで差別化するかを定義する必要があります。
差別化の軸としては:
健康志向:低アルコールやポリフェノールを訴求
利便性:缶ワインやミニボトル、キャップ式容器
体験価値:試飲イベントやワイナリーツーリズム
インバウンド:国産ブドウや地域性を活かした「日本ワイン」
さらに、B2Cだけでなく、B2B市場(美容院・医療現場・防災備蓄など)も新しい需要先となり得ます。
参加者の施策要約
NTさん
短期:ミニボトルや缶入りの低アルコールワインを拡充し、初回購入の心理的ハードルを下げる。
中期:料理とのペアリングに依存せず、ワイン単体で楽しめるカジュアルライン(カクテル風などを含む)を開発。
長期的:人生の節目で贈り合うワイン文化を醸成するブランドキャンペーンを展開。
MAさん
1)ソムリエ協会やワイン協会を起用したPR施策で魅力を伝えるコンテンツ制作(漫画やドラマなど)を実施。
2)スーパーマーケットやマルシェ、音楽フェス等での試飲イベントを通じて、気軽に「まず味わってもらう」体験を提供。
3)携帯性を高める中栓ワインなど、新しいパッケージの開発で消費のハードルを下げる。
YTさん
1)少し飲む層向けに、健康志向の高い飲料メーカーと提携して「ヘルシーワイン」を開発し、新たな需要を掘り起こす。
2)インバウンド需要に対応して、日本らしさを打ち出した土産用ワインをコンビニや土産店、ホテルで積極的に展開する。
村木フィードバック(抜粋)
✔ 飲酒率や選択率を置く際には必ず統計や調査を根拠とすべき。数値の「出所」を示すだけで説得力が大きく変わってきます。
✔ セグメント分けは「年齢」だけでは不十分。「価格帯」「種類」「チャネル」の三層で分けると構造が明確になります。
✔ 拡大施策は「誰の財布を狙うか」を明確にしなければ弱い。新規 vs 既存、B2C vs B2Bを整理して提示することが大事になってきます。
✔ 「文化醸成」のような抽象的施策はケース面接では評価されにくい。まずは短期的にROIが見える打ち手から提案すべきです。
まとめ・このケースを通じた学び
セグメント分けによる推定精度の向上
人口や飲酒率だけでなく、価格帯・種類・チャネルを掛け合わせて分析することで、より現実に近い推定が可能になります。
本ケースでは缶ワインやインバウンド需要を最初から取り込めていれば、さらに精度を高められたと考えられます。
課題構造の特定が施策設計の出発点
「なぜ日本でワイン消費が伸び悩むのか」を仮説立てすることが、施策設計の起点になります。
若年層のワイン離れや他酒類の強さといった構造的制約を明確にすると、提案に一貫性が生まれます。
ROIを意識した打ち手の優先順位付け
缶ワインや小容量商品は在庫リスクを抑えつつ新規層を取り込めるため、短期的にROIが高い施策といえます。
一方で文化醸成のような長期施策は意義はあるものの、ケース面接では評価されにくいため、まずは短期的に効果が見える施策を優先する必要があります。
体験価値による差別化
ワインは「文化的・観光的価値」との親和性が高い商品です。
ワイナリーツーリズムや土産用ワインなど、体験や地域性を付加することで、単なる飲料以上のブランド体験を提供できます。
ケース面接全般への学び
市場推定では「構造化→セグメント分解→仮定根拠明示」、施策立案では「誰の財布を狙うか→ROI評価→差別化戦略」という流れを意識することで、論理的で説得力のある回答を組み立てることができます。
本ケースを通じて、今後のケース面接にも応用可能な実践的思考法を学ぶことができました。
関連事例
実際に、ワイン業界では「若年層のワイン離れ」や「競合酒類の台頭」に対して、各社が新しい需要創出に取り組んでいます。
サントリーは、軽やかな味わいのスパークリングワインや缶ワインを展開し、「持ち運びやすさ」「飲み切りやすさ」という利便性を武器に若年層を取り込んでいます。
また、オンライン試飲会やインフルエンサー施策を通じてSNSでの話題化も進めています。
一方、シャトー・メルシャンは「日本ワイン」を前面に押し出し、国産ブドウ100%による地域性や文化的価値を訴求。さらにワイナリーツーリズムを通じて「モノ消費から体験消費」への転換を促しています。
https://agenda-note.com/brands/detail/id=5076&pno=1
こうした事例は、本ケースにおいても示唆的です。
国内市場を広げるには、①缶ワインなど利便性を高めた商品で新規層を開拓、②国産ワインによるインバウンド需要の獲得、③オンラインとリアルを掛け合わせた体験価値の拡張、といった方向性が有効だといえます。
ぜひあなたも考えてみてください!
あなたなら、国内ワイン市場の売上をどう推定しますか?
そして、新規参入する過程において他と差別化するために、どんな施策を打ちますか?
コンサル転職に興味がある方、是非以下のURLから公式LINEを追加して、村木とのキャリア面談を申し込んでみてください。そもそも転職するか悩んでいる、コンサル以外も興味がある、と言う方でも大歓迎です。是非一度お話しましょう!
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