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【元マッキンゼーが教える】ケース面接で「分解」から入る人が落ちる理由。最強の思考法「SCR」とは?

■はじめに

コンサルタントの面接における最大の難関「ケース面接」。

与えられたお題に対して、多くの候補者はすぐに「数式」や「要素分解」に飛びつきがちですが、実はそれが「浅い回答」とみなされる原因かもしれません。

今回は、元マッキンゼーの村木(ステラキャリアズ代表)が、実際にマッキンゼー内部で徹底されていた思考フレームワーク「SCR(シチュエーション・コンプリケーション・リゾリューション)」を解説します。

「自販機の売上を上げるには?」という具体的お題を例に、ダメな回答例と、評価される回答のプロセスを完全講義形式でお届けします。


■ 多くの人が陥る「ダメな思考法」

Q:今回のテーマは「ケース面接での思考法」ということですが、具体的にどのようなお題で考えていけばよいでしょうか?

A:まず初めになんですが、よくコンサルファームのケース面接で出てくるような例題を一つ初めに書いてみます。お題がですね、「サントリーが自動販売機における自社売上を増やしたいと考えている。どのような打ち手が考えられるか」というものです。

ぜひちょっと自分だったら何て考えるかなって、30秒とかでいいので少しまず考えてみてください。

Q:……はい、考えてみました。多くの人はどう答えるのでしょうか?

A:皆さんどんな考えを打ち出しましたか?

例えばですね、「良くない回答」っていうのをここに出してるんですけど……例えばもし皆さんが考えたアイデアが、こういうのだとあんまり良くないと思ってます。

例えば、このサントリーの自販機の売上っていうのを要素分解まずします。「人口が1億2000万人いて、自販機の利用率がどれだけで、で、年間購入数っていくらで、単価がいくら。売上ってこう分解できるから、それぞれの要素について売上を向上する策を考えよう」と。

で、例えば丸の1番であれば、この自販機の利用率ですね。これを上げるために、私だったらもっと便利な場所に自販機を置きますとか、自販機の設置台数をこう増やしていきますとか。

で、もしくはこの年間の購入数でいくと、なんか買いたいと思えるような新しい商品を開発しますとか、サブスク導入しますとか。

こういうようなことを言っても、あんまりケース面接の場では刺さらないという風に思います。

Q:えっ、論理的に分解しているように見えますが、なぜダメなんでしょうか?

A:なんでかって言うと、例えば丸1番の「自販機の利用率」。これについてはですね、実は自販機って利用率は今、減少トレンドです。

飲み物じゃない、なんかこう最近だとなんかお出汁が買える自販機とか、あとまあこう食べ物系とかなんかそういうものについては若干上がってたりするんですが、基本的に自販機って今、使われなくなりつつあるんですよね。

だからこう、「もっと便利な場所に置く」とか「台数増やす」って言っても、なんかこれは全然多分役に立たない施策ですとか。

あとこの丸の2番の「年間の購入数増やす」。

まあこれも購入数増やす方法色々考えてもいいんですけど、そもそも考えて欲しいんですけど、人間が摂取する水分量って変わんないんですよ。

だからあんまりこれをやったことで、「じゃああなた2倍の水飲むようになりますか?」って言われても多分ならないし。

丸の3番の「単価」のところについても、まあ値上げって安易にやっちゃうと、まあ普通に数量下がるので。

ここに書いてるような答えって、なんかパッとなんかMECE(ミーシー)にこう分解されていて、やっていていいように思えるかもしれないんですけど、実は良くないっていうのがこの回答例です。


■ マッキンゼーの常識「SCR」とは

Q:では、どう考えればよかったのでしょうか?

A:じゃあどうしたらいいかっていうのが今日の本題なんですが、「SCR」です。

で、SCRって聞いたことない人多いと思うんですけど、私が前職働いていたマッキンゼーでは、1日絶対1回は聞く言葉でした。

でもどういう時に聞くかって言うと、大体怒られるって感じですね(笑)。もうパートナーとかから「いや、SCR全然それ考えてないよね」って、よく私も怒られてました。

Q:SCRとは何の略ですか?

A:

SはSituation(シチュエーション)、状況ですね。

CはComplication(コンプリケーション)、複雑化。

RはResolution(リゾリューション)、解決策。

この頭文字取ってるんですけど。

まずSituation(状況)ですね。私はケース面接でこういう売上向上系聞かれたら、絶対にまず「その市場って今伸びてるんだっけ? それとも停滞してるんだっけ? それとも今もうどんどん小さくなってるんだっけ?」っていう、まずこれは絶対に意識してました。とか、あとまあその競合のプレイヤーの数が増えてるか減ってるか。まずこの状況をしっかり整理するっていうところからスタートします。

次にComplication(複雑化)って書いてますけど、まあその状況整理するだけじゃ不十分で、「なぜそうなってるのか」っていうのを2段か3段ぐらい深ぼって考えます。

で、通常大体その例えば「市場が小さくなってる」っていう時の理由って、絶対1個じゃないんですよ。必ず複数の理由が複雑に絡まり合ってるので、この辺りを紐解くっていうのがComplicationです。

で、最後にResolution、解決策を考える。

さっきの筋の悪かった回答の方は、なんかこのSとCをスキップして解決策に飛ぶので、なんか全然納得感がないっていう感じになります。


■ 「空・雨・傘」で理解する

Q:少し概念的なので、もう少し噛み砕いて教えていただけますか?

A:ちょっとこの話聞いてもまだよくわかんないと思うので、もうちょっと説明します。

このSCRって日本語だと「空・雨・傘」っていう風に言ったりします。で、これ有名なので知ってるっていう人も多いかもしれないですけど、改めて説明するとですね。

これが何かと言うと、え、空を朝会社行く時に見ますと。

で、「あれ、なんか空の色が黒いな」って。まあこうやってまず状況を察知するっていうのが「空(Situation)」ですね。

で、空の色が黒いからすぐ「じゃあ雨だ」って飛びつくんじゃなくって、多分皆さんって色々その時考えると思うんですよ。

「なんで今、黒いんだろう?」

例えば「出社時間が今日の出前(日の出前)だから暗いのかな?」。いや、そうではない。

で、まあすごいイレギュラーですけど「今日皆既日食だったかな?」とか。いや、そうでもないなと。

「じゃあきっとあれは雨雲なんだろう」と。

でもその雨雲の大きさってどれぐらいなんだろう? 「通り雨で一瞬だったら傘とかいらないかも」

「あ、いやでもなんかそんな通り雨じゃないと。きっとあの雨雲は1日中雨が降るぐらいすごい大きい雨雲だろう」って。

普段こんなあの複雑に考えてないと思うんですけど、まあでも多分「傘持ってくかどうか」の判断する時って、なんとなくこういうことも1〜2秒ぐらいで瞬時に、なんかこう皆さんの中でやっていて。で、最終的に「今日傘持っていこう」っていう風になってると思うんですよね。

Q:なるほど、無意識にやっている思考プロセスですね。

A:そうです。で、このSCRが甘いと、「傘持っていかない」って決断をして、なんか雨に降られちゃって濡れちゃったとか。もしくは逆で、傘持ってったのに使わなかった。

その時はこのSCRの、この「あれ」が多分甘かった時なんだ、という風に思います。


■ ビジネスケースへの応用

Q:では、これを実際の企業のケースに当てはめるとどうなりますか?

A:実際の企業に当てはめるとどういうことかっていうのも説明したいと思うんですが。

例えば状況(Situation)として、「ある会社の営業チームは前年比で活動量を10%増やしました」。もっと分かりやすく言うと、去年営業チームって100人しかいなかったけど、それを110人にしました。でも「受注件数は横ばい」です。

で、それに対して「じゃあどうしたらいい?」って言われたら、すぐ解決策に飛びつくんじゃなくって、「なぜか」ってことを考えます。

で、例えばもうこれ全部適当に書いてるんですけど、例えばこういう状況だとします。

市場は20%で成長してる。つまり何もしなくっても普通に売上ってこれ上がる状況ですよね。なのにこう「営業担当者1人当たりの売上は大幅に悪化している」とか。

で、じゃあこれって「うちの社員がサボってんのかな?」と。「10%増えてなんか人が増えたからみんな楽してんのかな?」と。

でもそうじゃないと。「営業チームの新メンバーとかはもう競合のトップクラスの人引き抜いてきてるし、みんなが見るとめっちゃ頑張ってる」。だからこれ営業チームに全然課題はありませんと。

で、3つ目、「市場の成長ドライバー」っていうのを考えると、既存の製品じゃなくって、この既存製品の拡張版とか、もう新しいバージョンがこの市場成長のドライバーのメインでしたと。

で、じゃあうちはそこってどうなのかって考えると、「うちは全然そこに投資してこなくって、拡張版の製品がありませんでした」。

じゃあ解決策(Resolution)は何かって言うと、「拡張版をリリースしましょう」。

まあちょっとこれでも単純なぐらいですけど、まあでもやっぱりこの流れをしっかり意識して解決策を考えるっていうとこが大事になります。


■ 市場が「成長」か「衰退」かを見極める

Q:まず最初に考えるべきポイントは何でしょうか?

A:さっきちょっと言ったんですが、まずは「市場が成長しているか、成長していないのか」、その理由から考えることをおすすめします。

まあ例えば成長してる市場って、E-コマースとか、まあEVとかそういったものが今成長してるし。逆に衰退してる市場って、一般小売と商店街と、ここに書いてるようなものですね。

なのでこれは必ず意識して回答していただくといいかなと思います。

で、意識した上で、成長市場に対してはやっぱりまだまだ伸び代があるので、「認知率どう高めるか」「浸透率どう高めるか」、まああと競合もたくさんいると思うので「どう競合からスイッチングするか」とかを考えますし。

衰退してる市場だったら、「アンゾフの成長マトリックス」ですね。まあこれ何かと言うと、今の商品・今の市場から、「新しい製品、それから新しい市場に拡大していく」っていうのを言うんですけど、そういった考え方を使うとか。あとは広い意味で「競合からスイッチングする」みたいなことも、衰退している市場の時はあるかなという風に思います。


■ サントリーの自販機問題を「SCR」で解く

Q:では改めて、最初の「サントリーの自販機」の例に戻りましょう。村木さんならどう考えますか?

A:実際にさっきの自販機の例で考えたいと思うんですけど、これ何回も申し上げてる通り、衰退していますと。

じゃあどうしたら売上が上がるか。

例えば、「新しい自販機」みたいなものを出すってありうると思うんですよ。

具体的に、最近大きいビルとか行くと「警備ロボット」とかってなんかいっぱいぐるぐる回ってたりとかするじゃないですか。

で、例えばああいった技術を使って……例えば新幹線の車内販売って、まあ今廃止されちゃいましたけど、でも別にあの警備ロボットみたいなのが通路をなんかこう往復して、でジュースとか売ってくれてもいいわけですよね。

とか、あの最近私が感じたペインポイントだと、「世界陸上」を見に行ったんですけど、あの国立競技場にめっちゃ広いんですよ。

で、自販機とかあんまり置いてなくて、で、かつなんか売店とかもすごい列があって。

そういうところに例えばそのロボットが、センサーで通行人の体温とか、その体温から「この人喉乾いてるんだろうか」みたいなのをこう識別して、「あ、あの人喉乾いてそうだから、あの人のところへ行こう」って。

ロボットがウィーってきて、「ジュースどうですか?」って言ったら、なんか買いそうじゃないですか。

で、多分技術的には今言ったことって全然できると思うんですよね。でも今じゃあそういう自販機ってあるかって言うと、ない。

じゃあそういう自販機を作りますとか。

なんかこういう、「今ある自販機をどうやってどんどん広げていくか」じゃなくって、「新しい市場」……まあさっき言ったその新幹線の車内販売の代わりってこう新しい市場ですし、でそもそもこのロボットみたいなものも新しい製品だし。

こんな感じで考えていくっていうのが、このSCRを元にした売上向上の考え方になります。


■ コンサル面接を突破するテクニック

Q:最後に、このSCRをより使いこなすためのアドバイスをお願いします。

A:最後に、よりこのSCRを使いこなすためにっていうテクニックをお伝えしようと思うんですけど、まああの、端的に言ってSCRの「深さ」かなと思います。

本当にこの特に「C(Complication)」がめっちゃ大事で。

「なぜこの状況なんだろう?」っていうところを、もう「なぜなぜ」をこう何回も何回もこう繰り返していかないと、なかなかいい解決策が出てこないので。まずこのコンプリケーションのプロセスをしっかりこう回せるか。

やっぱりこれはなんか広い知識とか、いろんな業界で起きてることを色々知っているかとか、そういうこう知識があると、このコンプリケーションは上手にできるようになります。

とか、あとこの「コンプリケーションのただの裏返しが解決策になってる場合」とか。これもあんまり良くなくって。

例えばさっきの自販機の例で言うと、まあ「自販機みんな水分量とか別に摂取量とか変わらないし、自販機そのものがこう衰退して」っていうのが状況で。

で、コンプリケーションが、「商品がいけてない。サントリーの商品よりも、コカコーラの商品の方がいい。だから売れてないんだ」と。

じゃあレゾリューション(解決策)は、「コカコーラみたいないい製品を作ります」みたいな。

これめっちゃいけてなくって。

あの、考えて欲しいんですけど、サントリーの人たちそれ知らないわけないですよねって。

で、商品開発の人とかめっちゃその道のプロの人がいるわけで、多分いい商品作ろうって、まあ毎日毎晩こう努力してると思うんですよ。

なのでこういう「単なる裏返し」って、本当に浅い答えにしかならないので。

ただの裏返しにならないようにどうしたらいいかっていうのを考えるっていうのも、すごく大事なテクニックになります。


まとめ(示唆)

今回の核心は、「目に見える課題(Situation)だけで解決策を出そうとしないこと」です。

マッキンゼーをはじめとするトップファームが見ているのは、答えそのものではなく、そこに至るまでの「思考の深さ(Complication)」です。「なぜ市場が縮小しているのか?」「なぜ競合は勝っているのか?」という「なぜ」を何度も繰り返し、表面的な要素分解ではなく、構造的な真因を突き止める。

それこそが、プロフェッショナルなコンサルタントに求められる思考法であり、面接突破の鍵となります。


■さいごに

キャリアは一人で悩むほど、不安が増幅するものです。

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