【ケース面接練習 vol.10】[国内アミューズメントパークの市場規模推定と拡大施策]
■ はじめに
ステラキャリアズでは、支援者+村木(元マッキンゼー・マネージャー、面接官経験あり)でグループ型のケース面接練習を定期的に実施しています。
実際の面接で問われるような問いをテーマに、参加者がそれぞれの視点から回答し、議論・フィードバックを通じてケース対応力を磨いています。
本記事では、「国内アミューズメントパークの市場規模推定と拡大施策」を題材にした回をご紹介します。
課題は二段階で構成され、第一問で市場規模を推定した後、第二問でその市場の拡大施策を提案します。
■ お題説明
クライアント:国内のアミューズメントパーク運営各社
条件:全国の施設を対象とすること。(特定施設に限定しない)
■ 第一問(フェルミ推定)
✔考える際のヒント
① 複数軸で市場をセグメント分けする
本問では「年齢層」や「性別」といった単一の属性ではなく、「行動目的」と「属性・国籍」を掛け合わせた複数軸の分け方が重要です。
同じ年齢層でも「家族との思い出づくり」「友人との日帰り」「訪日旅行の一環」など、目的によって支出構造は大きく異なります。複数軸で整理することで、より現実的な推定が可能になります。
② ロイヤル層と一般層を分けて考える
アミューズメントパークは“熱心なファンが全体を支える”構造を持つ産業です。年間パス保持者や常連客(ヘビーユーザー)は、一般層に比べて来場頻度も単価も高くなります。この2層を分けて考えることで、セグメントごとの行動のばらつきを減らし、より確からしい推定を導くことができます。
③ 季節要因と団体需要を構造に組み込むことが大切
アミューズメントパークの来場は季節性が高く、繁忙期と閑散期の差が大きいです。さらに、修学旅行や企業レクリエーションといった団体需要も存在します。これらの要素を構造の中に組み込むことで、年間を通じた平均的な市場規模をより正確に算出することができます。
■ 参加者の回答要約
MHさん
4200億円。
顧客は日本在住の10〜40代と訪日客を対象に約4,500万人と設定。年間1.5回、単価7,000円(飲食やグッズ含む)で約4,200億円と推定。
TIさん
7400億円。
国内在住者を「プライベート旅行(日帰り・宿泊)」と「修学旅行などの行事」、さらに訪日客に分けてそれぞれ算出。約6,000万人×平均単価1.2万円で約7,400億円と推定。
MAさん
7500億円。
「インバウンド層」と「国内(一般男女層/ロイヤル男女層)」に分け、ロイヤル層の回数・単価を高めに設定し、約7,500億円と推定。
■ 第1問のフィードバック
① 行動特性と支出特性を組み合わせた構造化が有効
MAさんのようにロイヤル層と一般層を分ける考え方は、行動差を的確に捉えており良いアプローチです。
年齢や居住地といった属性軸だけでは、支出傾向や来場頻度の違いを反映しきれません。行動特性(誰と・どの目的で行くか)と支出構造を結びつけて整理することで、実態に近い構造を描くことができます。
②「非日常体験にお金を払う」構造を意識することが精度を高める。
アミューズメントパーク市場では、「日常的な娯楽」ではなく“特別な体験への支出”が主な動機になります。
たとえば映画やカラオケのような日常的レジャーは「コストパフォーマンス」で選ばれますが、テーマパークは「思い出」「雰囲気」「演出」といった心理的満足度に対してお金が払われます。旅行やイベントと同様に、“記憶に残る体験にどれだけ支出するか”という心理的価値を前提に置くことが重要です。
市場を“時間消費”ではなく“体験消費”として捉える視点が、推定の質を大きく左右します。
この構造を押さえた上で、国内客・インバウンド客・ロイヤル層を位置づけると、より実態に近い市場規模を導けたでしょう。
■ 第二問(市場拡大施策)
✔考える際のヒント
① 「時間帯の拡張」で新しい需要を生み出す
大型施設では休日昼間の稼働が飽和している事が多いため、夜間営業や季節限定のライトアップイベントなど、時間帯をずらすといった集客も有効であると言えます。
本問では、単に“人を増やす”発想ではなく、“時間をずらして価値を生み出す”という視点も鍵になります。
② 体験を“積み重ね型”にすることで継続利用を促す
アミューズメントパークは、「一度行ったら満足してしまう」といった層が一定数いることも事実です。これを、行くたびに新しい発見や達成感が得られる“積み重ね型体験”に変えることが、リピーター獲得の鍵です。たとえば、「来場回数で特別エリアが解放される」「複数回来場者だけが参加できる限定イベント」など、訪れるほどに価値が高まる仕組みを設計して再訪を促すことも重要です。
体験をつなぐことで、次の訪問動機を自然に生み出し、顧客定着率を高めることに繋がります。
■ 参加者の回答要約
MHさん
平日稼働の向上と単価アップを両立させる施策を提案。
大型施設ではすでに集客が飽和しているため、夜間イベントや限定ショーによる単価向上を狙った。一方で、中小施設では企業研修や学校行事などの団体利用を強化し、平日稼働率を高めることで収益を安定化させる構想を示した。
TIさん
新業態開発と地域資産の再活用による市場拡大を提案。
土地制約を超える「水上テーマパーク」や「VRパーク」などの新業態を創出し、体験の幅を拡大する案を提示。また、老朽化した地方施設を「和風テーマパーク」として再生し、訪日客を呼び込むことで地方活性化とインバウンド需要の取り込みを両立させる方針を示した。
MAさん
リピート促進と収容力分散を目的とした周遊型の仕組みを提案。
複数のテーマパークをつなぐ「パーク周遊割引制度」を導入し、来場者が異なる施設を巡る動機を設計することで再訪を促進。また、「第3のディズニー構想」により国内の収容力を分散させ、混雑緩和と新たな消費機会の創出を狙った。
■ 第2問のフィードバック
① 「混雑」を価値転換する発想が鍵
MHさんの夜間イベント提案は、混雑を避けたい層に新しい価値を提供しており、非常に良い方向性でした。
一方で、“混雑を避ける”に留まらず、“混雑を価値に変える”発想も重要です。たとえば、ディズニーの「プレミアアクセス」のように、混雑の多い人気アトラクションを有料の優先入場や限定体験として設計すれば、混雑が“人気の証”であると同時に、“特別扱いされる体験”の源泉にもなります。人は「多くの人が並ぶ=価値がある」と感じる傾向があるため、混雑を「特別な体験の象徴」として意味づけることで、顧客満足と収益の両立が可能になると言えます。
② 「体験の連続性」で市場を広げる
MAさんのパーク周遊割引制度は、施設間の競合ではなく“共創”による地域全体の活性化を狙う施策として優れています。
ただし、「再訪=もう一度行く」に留まらず、「行くたびに新しい体験が得られる」ように設計できるとさらに完成度が高まります。
たとえば、来場回数によって解放される特別エリアや、季節ごとに変化するショーなど、体験の“深さ”を設計することで、顧客の継続的な関与を生み出せます。
■ まとめ・このケースを通じた学び
①市場推定では「行動軸で分ける」ことが精度を高める
年齢や性別ではなく、「誰と行くか」「どんな目的で行くか」で区分することで、支出や来場頻度の差を正確に捉えることができます。アミューズメント市場では、行動特性の違いが購買行動に直結します。
②市場拡大においては稼働時間を見直すのも一つの手
休日・昼間の稼働が限界にある中では、「いつ・どのように稼働を高めるか」という視点が大切です。夜間イベントや平日向けプランなど、空き時間を“新しい体験”として再構築することが重要です。混雑という不満を価値に変える発想が成長の突破口となります。
■ 関連事例
①【東京ディズニーリゾート:公式アプリによる混雑・待ち時間管理】
実際に、ディズニーは繁忙時の長い待ち時間という課題に対し、公式アプリで待ち時間や園内マップ、飲食やショッピングの予約を可視化する打ち手を取りました。
これにより混雑による不満を解消し、体験価値を高めることでリピート促進と単価向上を実現しています。本ケースにおいても「混雑=不満」をなくす発想は有効であり、類似のお題では待ち時間データの活用や予約システムの提案が説得力を増すでしょう。
リンク:https://honichi.com/cases/measures/data/dataxthemeparks/
②【長井海の手公園ソレイユの丘:データ活用+事前決済導入】
地方施設では入園時の混雑や運営効率の低さが課題でした。ソレイユの丘は来園者データの活用と事前決済システムの導入により、入園待ちを緩和し顧客体験を改善しました。
その結果、再来訪率や口コミ拡散に結びついています。本ケースとも重なる「平日稼働改善」や「再来促進」の観点で参考になり、他のお題においてもデータ活用や事前決済の導入を施策に組み込むと一層の説得力が出せます。
リンク:https://note.com/nutmeglabs/n/nf1f161391a8c
ぜひあなたも考えてみてください!
あなたなら、国内アミューズメントパークの市場をどう分解して推定しますか?
そして、需要の偏在と混雑をどのような手順で市場を拡大しますか?
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