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【AI時代のコンサルファームの選び方(1/4)】 なぜコンサル業界はAI活用で先行するのか—事業会社との「取り組みの差」が生まれる理由—

はじめに

「AIに仕事を奪われるのでは」という不安が語られるいま、コンサルティング業界ではむしろAIを“武器”として使いこなす動きが加速しています。本記事では、私たちステラキャリアズが日々の支援の中で見てきた実態をもとに、なぜコンサルファームでAI活用が特に進んでいるのか、そして事業会社との取り組みの差がどこから生まれるのかを解説します。

※記載の社名・数値・各社の状況は執筆時点の情報・見解に基づくものであり、最新の状況とは異なる場合があります。

事業会社とコンサルファーム、AIとの向き合い方はこう違う

AIはあらゆる業界に影響を与えていますが、その向き合い方は業種によって大きく異なります。本記事では、その違いを「事業会社」と「コンサルティングファーム」という対比で整理していきます。同じAIでも、両者では置かれている状況も、活用に向かう動機も大きく異なるからです。

結論から言えば、AI活用を最も進めているのはコンサルティングファームです。コンサルファームとは、そもそも時代の変化を自ら掴みに行き、その変化の中でビジネスモデルを組み替えてきた人たちです。だからこそ、最も早くAI領域に手をつけ、かつそれをサービスとして他社に提供しています。では、AIを導入している事業会社と比べて、何がどう違うのか——以下、両者を対比しながら整理していきます。

事業会社も使っている。ただし「取り組みの深さ」が違う

では事業会社はAIを使っていないのか——というと、そんなことはありません。

たとえば国内最大手の自動車メーカーは、パワートレイン(車の駆動系の総称)開発にAIエージェントを展開し、隣接領域には数千億円規模で投資しています。金融業でも、数万人規模で生成AIを展開し、月22万時間(約1,000人分の労働時間)の削減につながりそうだという動きがあります。

いまや「AIを使っていない大企業」を探すほうが難しいでしょう。それでも、両者の取り組みの深さには明確な差があります。

差を生むのは、コンサルファームと事業会社のビジネスモデルの違い

差を生むのは、ビジネスモデルそのものです。コンサルティングは、突き詰めれば「人月商売」——コンサルタントの単価×投入人数で売上が決まり、これをどれだけ大きくできるかが勝負になります。この構造が、AI活用を一気に押し進める二つの動機を生みます。

① クライアントもAIを使い始めている——単価を維持・向上させるために
いまやクライアント企業自身がAIを使いこなし始めています。同じ単価を維持し、さらに引き上げていくには、コンサルタントはAIを使い倒し、クライアントよりも速く、深いインサイトを出し続けなければなりません。だからこそ、コンサルタントは自ずとAIの最先端に触れ続ける必要に迫られるのです。

② AIを使えば「100%以上」をチャージできる
コンサルの請求は投入工数がベースです。ところがAIを使えば、一人のコンサルタントが従来の何倍もの業務量をこなせます。実際、これまで100%しかクライアントにチャージできなかったものを、150%、200%とチャージするファームも出てきています。つまりコンサルファームには「AIを使って、より多くの業務を引き受けたい」という強いインセンティブが構造的に働くのです。

一方、事業会社(JTC)はどうでしょうか。事業会社では、効率化がそのまま歓迎されるとは限りません。業務が効率化されれば、その分だけ人員が余り、いわゆる“人員削減”につながりかねない。残業代を前提に生活が組み立てられているケースも少なくありません。つまり現場には、「本気でAIを使って業務を減らそう」という動機が構造的に湧きにくいのです。もちろん事業会社にも先進的な取り組みは数多くありますが、組織全体として“AIを使い切る”動機の強さでは、コンサルファームに分があります。

「AIをどこまで使えるか」が次の差別化軸になる

象徴的な例が、コンサルの実務そのものに表れています。たとえば、企業買収の前に対象企業の価値やリスクを精査する「デューデリジェンス(DD)」。かつては膨大な資料を人手で読み解く、ほぼ100%マンパワーの作業でしたが、いまではその一部をAIが担い、簡易的なDDをAIで進めるツールを自社で開発しているファームも出てきています。資料の読み込みや調査といった、従来なら数時間〜半日かかっていた作業が、実質1時間〜1時間半で仕上がる。そんな現実がすでに起きています。

コンサルファームに行きたいと考えるなら、「そのファームでAIをどこまで使えるのか」を一つの観点に据えること。これが、コンサルの中でも頭一本抜けるための鍵になります。続く記事では、どのファームがどこに位置するのか、そして実際の業務がどう変わっているのかを具体的に見ていきます。

まとめ

AIとの向き合い方は、事業会社とコンサルファームで大きく異なります。なかでもAI活用を最も進めているのはコンサルファームで、変化を自ら掴み、AIを“武器”として使いこなしながら、それをサービスとして他社に提供する最前線にいます。

事業会社もAIを導入していますが、違いは「取り組みの深さ」です。コンサルは単価×人数で稼ぐ「人月商売」ゆえに、クライアント以上に速くインサイトを出すため、そしてAIで増やした業務量をそのままチャージするために、AIを使い切る動機が構造的に強く働きます。これからコンサルを目指すなら、「そのファームでAIをどこまで使えるか」が重要な選択軸になります。

<次回>
「【AI時代のコンサルファームの選び方(2/4)】AIはコンサルの仕事をどう変えるか」

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