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【ケース面接練習vol.8】米の消費量推定と拡大施策

■ はじめに

コンサル転職支援プログラム「ステラキャリアズ」では、支援者+村木(元マッキンゼー・マネージャー/面接官経験アリ)でグループ型のケース面接練習を定期的に実施しています。

本記事では、「東京都内における年間の米の消費量は何キログラムか?」という、シンプルながらも市場の構造的課題を深く考察できるお題を扱った回をご紹介します。

課題は二段階で構成され、第一問で市場規模を推定した後、第二問でその市場の拡大施策を提案します。

■ 第1問:フェルミ推定

考える際のヒント

・お題特有の切り口の選択: 今回は「東京都」です。単身世帯率や外食比率を全国平均よりも高く推定すると筋の良い仮説が出るでしょう。

・セグメンテーション: 家庭・外食・業務用といった軸に加え、チャネルや時間帯など細分化することで精度を上げられます。

参加者の回答要約

NHさん

・推定結果:8億9,000万kg

・セグメンテーション:「嗜好(米好き vs それ以外)」と「行動(外食 vs 内食)」の2軸4象限で分類。

MAさん

・推定結果:85万t (8億5,000万kg)

・セグメンテーション:年齢で4層(幼児・小学生、中高生・大学生、大人、高齢者)に分類。

■ 第1問のフィードバック

✔︎ 思考の地図を示し、トップダウンを徹底する
「面接官としてついていくのが大変」という点が重要です。まず「総消費量 = 人口 × 一人当たり消費量」という最上位の式を提示し、そこから分解していく形で思考の全体像を共有してください。

✔︎ セグメンテーションは行動変数で切る
「米が好きか」といった証明不可能な主観的軸ではなく、「世帯構成」「食事の場所」など、客観的に観察可能で、消費量に明確な差が生まれる「行動変数」で切るべきです。

✔︎ 具体的な消費シーンの想像力
「朝食を食べない人がいる」「一人暮らしは炊飯の手間を嫌う」といった、生活実感に基づいた洞察が、推定の解像度を格段に高めます。

■ 第2問:市場拡大の施策提案

考える際のヒント

・競合のスコープを決める
競合を米ブランドのみに絞らず、パン、麺類、シリアルといった「朝食の選択肢」になりうるもの全てを競合として想定することが重要です。

・狙うべき顧客を論拠を用意して選定する
既存の米を食べている層の消費頻度や単価を上げるのか、それとも朝食欠食者やパン派といった新規層を狙うのか、その理由や市場のポテンシャルを説明した上でターゲットを選ぶ必要があります。

参加者の施策要約

NHさん:機会創出によるアプローチ

・企業・学校向け朝食提供サービス: 朝食欠食がちな学生や社会人に対し、所属団体(企業や学校)経由で米を主食とした朝食を提供する。個人ではなく団体にアプローチすることで、健康経営などの文脈で導入を促し、「半ば強制的に」米を食べる機会を創出する。

MAさん:利便性向上によるアプローチ

・朝食おにぎりの福利厚生導入: 忙しいビジネスパーソンをターゲットに、企業の福利厚生として朝食におにぎりを配布する。

・駅ナカの「立ち食いおにぎりスタンド」: テイクアウト専門店とは異なり、その場で食べられるイートイン形式のおにぎり店を駅ナカに展開。女性でも利用しやすい雰囲気作りで、クイックかつ健康的な食事ニーズに応える。

■ 第2問のフィードバック

✔︎ アイデアの幅と量を広げる思考法

両名のアイデアは良いですが、「もっとあるはず」と必ず問われるでしょう。アイデアを量産、拡張する上で最も有効なのが、「なぜ米は選ばれないのか?というPainから考える」アプローチです。
Pain①:調理が面倒 → 解決策:一食分だけ炊ける炊飯器
Pain②:買うのが重い → 解決策:農家直送プラットフォーム
Pain③:他の食べ物の方が魅力的 → 解決策:絶品の米粉ラーメン
Pain④:太る → 解決策:美味しい玄米ミールキット

✔︎ 対話を通じて思考を深める
面接官からの「なんでだろう?」という問いかけは、思考を深めるためのヒントです。「朝、パンを食べるのはなぜ?」→「手軽だから」→「米は手軽じゃない?」→「準備と片付けが…」という対話から、「手間」が本質的な課題だと特定できます。

✔︎ ターゲットと提供価値を具体化する
MAさんの「立ち食いおにぎりスタンド」は、「男性が多くて入りにくい」という女性のペインを捉えている点が具体的で良い。このように、「誰の、どんな課題を、どう解決するのか」を明確にすることで、施策の説得力は格段に増します。

■ まとめ・このケースを通じた学び

✓成長の鍵は「手間や時間の壁」の解消にある
議論の中で浮上した「朝食欠食」や「単身世帯の炊飯離れ」は、米の消費を阻む最大の障壁が「時間がない」「調理が面倒」という『手間や時間の壁』であることが挙げられるでしょう。この壁をいかに取り除くかが、市場拡大の最大の論点の一つとなります。

✓消費拡大の2つの方向性
「手間や時間の壁」を解消することで、大きく2つの方向から市場を拡大できます。

✓新規顧客の獲得
これまで米を選ばなかった層を、新たなターゲットとして取り込みます。例えば、「調理が面倒」でパンを選んでいた層に対し、レンジで温めるだけの包装米飯や冷凍おにぎりを提案する。「グルテンフリー」に関心がある層に、米粉パンやスイーツを提案するなどです。

✓既存顧客の消費機会を増やす
すでに米を食べている人に対し、食べる場面をさらに増やします。例えば、普段は自炊しているが「忙しい平日の夜」には米食を諦めていた層に対し、包装米飯やミールキットを提案することで、新たな消費機会を創出します。

✓ケース面接全般への学び
市場推定では「構造化→セグメンテーション→仮定根拠明示」、施策立案では「市場のボトルネック特定→打ち手の方向性定義→具体策」という流れを意識することで、論理的で説得力のある回答を組み立てることができます。

■ 関連事例

1. 無菌包装米飯:「調理の手間」と「タイパ」を捉え、新市場を創造

「炊飯が面倒」という巨大なペインを解消し、一大市場を築いたのが「サトウのごはん」に代表される無菌包装米飯です。電子レンジで約2分温めるだけで炊きたて品質のご飯が食べられる手軽さは、特に炊飯の負担が大きい単身世帯、共働き世帯、高齢者世帯のニーズを的確に捉えました。近年では「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する価値観の浸透や、防災備蓄意識の高まりも追い風となっています。これは単なる代替品ではなく、「少量だけ欲しい」「すぐに食べたい」という、従来の炊飯器では満たせなかった新たな食機会を創出した事例です。

https://agri.mynavi.jp/2023_01_21_215954/

2. 米粉:「グルテンフリー」需要を捉え、米の用途を拡張

米を粉にし、パンや麺類、菓子類の原料として活用する「米粉」は、米の新たな可能性を切り拓いています。最大の追い風は、世界的な健康トレンドである「グルテンフリー」需要です。小麦アレルギーを持つ人だけでなく、健康や美容を意識する層にも米粉パンやスイーツが浸透。国も食料自給率向上や水田の有効活用の観点から米粉の利用を推進しており、製粉技術の向上も相まって、米は「主食」の枠を超え、新たな加工食品原料として用途を拡張しています。

https://www.maff.go.jp/kyusyu/seiryuu/komeko/attach/pdf/240202-1.pdf

■さいごに

ぜひあなたも考えてみてください!
あなたなら、東京都内の米の消費量をどう推定しますか?
そして、米の消費を阻む「手間や時間の壁」を解消し、市場を拡大するためにどんな施策を打ちますか?

コンサル転職に興味がある方、是非以下のURLから公式LINEを追加して、村木とのキャリア面談を申し込んでみてください。そもそも転職するか悩んでいる、コンサル以外も興味がある、と言う方でも大歓迎です。是非一度お話しましょう!

この記事で紹介したケースのお題を実際に解いた練習動画は、転職面談を受けてくれた方に特典としてお渡ししています。
動画を見ながら対策したい方は、ぜひ面談にお申し込みください。



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